【伊勢】環境にやさしい交通対策の取り組みを表彰する「EST交通環境大賞」で、三重県伊勢市の交通事業者や市民らでつくる「伊勢地域公共交通会議」が、最上位の大賞「国土交通大臣賞」を受賞した。再生可能エネルギー由来の電気を使った電気バスの運行や、市内のコミュニティバスの利用促進への取り組みが評価された。
EST(環境的に持続可能な交通)の普及に向け、業界団体や関係省庁でつくる普及推進委員会が、平成21年度から、各地の優れた取り組み事例を表彰している。今回、全国から9件の応募があり、審査された。
伊勢地域公共交通会議は、有識者や交通事業者、市民らで構成。平成18年に設置され、公共交通の充実や利用促進に取り組んでいる。
市内では、三重交通に委託するコミュニティバス「おかげバス」が運行。鉄道やバス路線網が不便な地域を中心に運行しているが、より利便性を高めるため、平成31年から、商業施設や総合病院など市内の主要施設を結ぶ新たな路線「おかげバス環状線」の運行を開始した。利用実態やニーズに合わせてダイヤ改正したり、停留所を増やし、郊外に立地する各施設に乗り換えなしで移動が可能になり、初年度約3万8600人だった利用者数が、昨年度は約5万7200人に増えた。
また昨年、おかげバスに「みえ応援ポケモン」のミジュマルをラッピングした小型電気バス2台を導入。県内の水力発電所で発電された電気を使用し、CO2排出削減を目指した。
表彰式が、5月に東京都であった。同会議の事務局を務める市の担当者は「伊勢は観光交通が注目されがちだが、市民生活の交通の利便性向上の取り組みが認められた。交通事業者や市民が協力した取り組みが評価され、うれしく思う」と話していた。