伊勢新聞

2024年6月4日(火)

▼いわゆる“逆風”の中の自民党県連の定期大会である。衆院補選3選挙区、静岡県知事選と敗戦が続いている。自民色を出さない選挙戦術というのは政党としてもの悲しい。その真っただ中の大会がいささかあっさりとしている。どうすれば信頼を回復できるか、思案投げ首で立ちすくんでいるように見えなくもない

▼裏金問題などによって「党全体に国民の厳しい目や強い疑念が向けられている」と、活動方針は情勢分析したが、ではどうするのかといえば「県連としても改めて自らを見つめ直し、必要な改革の道を歩み続ける」。抽象的で、何をしたいのか伝わらないのではないか

▼田村憲久会長も裏金問題で「自民党は大逆風」とした上で「大変な不信を招き、心からおわびする」と陳謝して「一歩ずつ仕事を進めることで信頼を回復したい」。一歩って何、と突っ込みを入れたくはならないか。危機感があるのかないのか、首をひねりたくもなる

▼県選出の同党国会議員もあいさつをした。鈴木英敬衆院議員は「深く反省し、真摯(しんし)に取り組む」、吉川有美参院議員が「派閥の一員としておわびする」。2人が旧統一教会がらみで取りざたされたのは周知の通り。鈴木議員は政治資金問題で司法の判断も受けた。県連としてはこの際、グレーゾーンの議員には、とりあえず謝っておいてもらおうか、というのが今大会の目玉の一つのつもりかもしれない

▼2人の陳謝も「反省」「派閥の一員として」など具体性はない。党員と県民は違うが、だとすると、少々甘く見られた気はする。