2024年5月31日(金)

▼三重県知事を乗せた公用車が、横断歩道を渡ろうとしている歩行者がいるのに一時停止しなかった問題。一見勝之知事は定例記者会見で陳謝した上で、乗車中は気づかず、のちに秘書課を通じて報告は受けたが、自分が乗車中だったのは報道で知ったとして「知事への情報提供に不備があった」

▼案の定だが、これを「不備」と捉えるか「そんたく」と解すか。田川亮三元知事の4、5期のころ、一期を担当した先輩はよく酔って夜中に知事公舎(当時)の塀を乗り越えて警備員にとがめられたが、知事が出てきて招き入れてくれたそうだ

▼その話を5期時代の秘書課長にしたら「そんなことされちゃかなわんぜ」と真剣にクギをさされた。秘書課体制が整備されるにつれ、ガードは固くなる。知事を守ることが最優先の仕事とされていく

▼そのころ、知事が一人になる機会をチェックして接近して雑談した。知事の話として書いたことは知事自身、自分が話したと受け止め、知事はむろん、職員から異論がでることはなかった

▼前県政時代。知事が精神障害児(者)の就労を促進する知事会の代表になった時、障害者の就労を労働力と認めなかった知事が―と書いたら秘書課長からクレームがきた。知事に確認したわけではないが、知事はそんなことは一言も言っていない、と言う

▼慌てて知事会見の議事録を調べたら、精神障害者の喫茶店を開設する際に同趣旨のことを言っていた。秘書課長が知事に確認していないとして抗議をしてきた心理、というものをちょっと考えてみたことである。