▼静岡県の政治情勢はほとんど知らぬが、与野党対決の構図だった知事選挙は、野党の立憲民主、国民民主両推薦の元浜松市長の鈴木康友氏が与党候補に7万票以上の差をつけて当選した。先の衆院補選3選挙区以来、与党4連敗となる
▼東部、中部、西部の3地域に分けられる静岡県で、浜松市を含む西部は独特と言われ、浜松市出身の知事は初めて。中部、東部の首長の多くが中部出身の対立候補を支援したという。票差以上に前途は多難なのかもしれない
▼そんなことはともかく、県として関心事は前知事の川勝平太氏が工事着工を認めてこなかったリニア中央新幹線静岡工区の行方である。川勝前知事が辞職表明しただけで関係者はリニア中央新幹線の進展に変化が訪れることを確信。一見勝之知事もその一人だった
▼新知事が野党推薦候補だったにもかかわらず、建設促進既成同盟会長である大村秀章愛知県知事は「着実な進展に向け、取り組んで行かれることを期待する」、JR東海も「(県と)引き続き密に意思疎通を図っていきたい」とそれぞれコメントした
▼与野党激突とされながら、ことリニアについては、鈴木氏も「水や生態系の問題をないがしろにしない」と断りながらも、推進を主張していた。水問題などは解決する、とも。リニアに関しては大きな対立はなかったようなものだろう
▼トンネル掘削による水位低下は起きている。複雑な政治情勢の中で、前知事が固執した水問題の解決策が万人の納得するものになるかどうかで、意外にこじれる可能性は残る。