伊勢新聞

2024年5月28日(火)

▼県交通安全協会への加入率が低下していることについて、協会幹部は活動が知られていないことを原因にあげている。しからば、その活動とは何か。本紙「まる見えリポート」があげるのは、長年にわたる交通安全の啓発であり、具体的には児童生徒の登下校を見守るボランティアの支援、小学校での交通ルールの啓発、運転の注意点などを紹介する動画配信

▼これらが知られたとして、それでは会員になって支援しようという人が増えるかどうか。むしろ低下に拍車がかかりはしないか。協会幹部が「打開策に悩む」というのは、活動の実態を知らせることではなく、活動の実態を知らせることが必ずしも加入率増に結びつくか、自信がないからではないのか

▼交安協会の存在は昔からよくないうわさが絶えなかった。県運転免許センターの収入証紙販売窓口に隣接して協会の受け付けがあるが、そこの職員が協会の活動について何か話すことはなく、収入証紙販売窓口の職員が言葉少なに加入承諾を促し、領収書と免許証ケースを交付するだけだった

▼任意加入であることや、協会の活動が何も知らされなかったことに気づき、してやられた不快な気分にさせられたのはずっと後である。だから、証紙購入の時にはっきり断らなければだめだと忠告してくれた先輩がたくさんいた。当時は財政豊かな団体の一つで、警察幹部の天下り先として一級とされていた。先輩の忠告は一理あるか、それとも交安活動を危機に陥れる暴挙か

▼財政難に悩む前に、存在意義を考えなければなるまい。