伊勢新聞

2024年5月25日(土)

▼春から夏にかけての今の季節が、蜜蜂が最も活躍する時季。花から花へ飛び回る蜜蜂の姿を見かけることが多いと思う。蜜蜂は一匹の女王蜂、一匹の雄蜂以外、全員が雌蜂で「働き蜂」である。本当によく働く

▼ところが、近年、世界中で蜜蜂の数が減っている。温暖化による気候変動が原因だ。蜜蜂は気候の変化に敏感で、森林や草原が減少して蜜源(花)が減ると生きていけない。花粉が栄養源、巣の材料だからだ

▼最近、ブラジルのオレンジやコーヒー豆の不作、長野県のリンゴの不作が伝えられたが、これも蜜蜂が減ったことが原因。蜜蜂が花粉を媒介することで、多くの植物が受粉して生育する。世界で食用にされる野菜や果物百種のうち70種以上が、蜜蜂の媒介によっている。蜜蜂は私たちの生活を支えているのだ

▼人類は古くから養蜂業を営んできた。蜂蜜の採取以外、蜜蜂の農家への貸し出しも重要な仕事。本県にも松阪市に全国有数の養蜂業・水谷養蜂場があるが、蜜蜂の生育維持に苦しんでいるという。「蜜蜂がいなくなったら人類は4年で滅亡する」とアインシュタインは警告した。危機は迫っている。