▼知事を乗せた公用車が昨年11月、一時停止違反で摘発されていた。横断歩道を渡ろうとしている歩行者がいるのに公用車は停止せずに直進。パトロール中の警察官が目撃し、違反の青切符を交付した
▼やりとりは一見勝之知事が降車した後。運転手が運転業務受託会社に報告し、会社は県に陳謝し、運転手を交代させたという。知事もむろん報告を受けていようが、知事会見などで公表することはなかった。名誉なことではないし、本人に直接関係もなく、公表するまでもないと判断したか
▼県の一時停止状況は、JAF(日本自動車連盟)調査で令和元年に3・4%と全国最下位になり、県民に衝撃を与えた。県警も啓発、取り締まりに本腰を入れた。横断歩道での一時停止はマナーではなく、道路交通法違反であることが県民に浸透したのも、これが契機でなかったか
▼昨年の一時停止率は前年比1・7ポイント増の51・3%。全国平均を6・2ポイント上回った。実は令和元年の前年はさらに悪く1・4%だったがあまり知られず、県警も特に改善に力を入れた様子はなかった。悪いながらも全国順位がワースト3位だったことと無縁ではあるまい。全国最下位のレッテルがその後の改善に果たした効果は大きいのではないか
▼昨年の停止率について、JAF三重支部は「向上しているが、4割以上が停止していない」。公務中の知事公用車の交通ルール違反はあってはならないことだが、起こしてしまった以上、公表して、そのインパクトを停止率のさらなる向上に役立てるのも一案であった。