伊勢新聞

2024年5月22日(水)

▼県民からの寄付を基金にボランティア活動を支援する県外郭団体で、子ども食堂を運営しようとした食堂経営者の申請が、営業で使う食器類と、子ども食堂のそれと管理があいまいと一時保留になったことは、以前書いた。浄財を運用する以上やむを得ない厳格さだが、伊勢市の食堂経営者は直接企業に呼びかけ、子どもたちの食事をサポートする子育て支援事業「伊勢からのやさしい風プロジェクト」をスタートさせた

▼協力企業に事前に購入してもらったランチチケットを店に並べ、子どもなら誰でも利用し、無料で食事ができる。チケットに学校名と名前、企業への感謝の気持ちを書いて店に提出。協力企業に届けられる。メニューは店の料理と同じ。経営者は「子どもたちに食べることの大切さを学んでほしい。伊勢にはすてきな会社があることを知ってもらい、大人になったら自分も地域に貢献したいと思うきっかけになればうれしい」

▼最初子ども食堂を考えたが、ボランティアのため不定期開催で、経営も不安定、利用者へのいじめがあるなど課題があり、福島県の例を参考に始めたという。「いだたきますを元気に言う」「好き嫌いしない」「食べ残しはしない」などのルールも設定した

▼コロナ禍で多くの子ども食堂が閉鎖に追い込まれた。利用者は白い目で見られ、肩身が狭い思いをするともいう。運営者は保護者や友人を誘うことを促し、気楽なサロンにしようと努めている

▼冒頭のケースも承認された。仲間づくりや助け合いはいろんな形があることが望ましい。