【伊勢】三重県伊勢市の皇學館大学の学生たちによる「大学生テレビ局」が、先月、活動開始から10周年を迎えた。地域で輝く人や伝統文化に焦点を当て、学生たちが企画から取材、編集を手がけて番組をつくり、地元のケーブルテレビ局「ZTV」のレギュラー番組で放送中。「映像の力で地域を元気にしたい」と奮闘している。
現在、局員は1―4年生の11人。ケーブルテレビでリピート放送している30分のレギュラー番組は、1カ月ごとに更新する。番組制作の中心となるディレクターは持ち回りで担当。「頑張る人の応援団」をモットーに、スポーツに打ち込む学生や伝統ある祭りに迫ったドキュメンタリー、地元を代表する経営者らへのインタビューなど、平成26年4月の放送開始から先月まで、制作した番組は115本となった。
115本目は10周年記念の特別番組として、ディレクター初挑戦の2年生北村拓音さん(19)が担当した。題材に選んだのは同市御薗町高向で約800年継承される「御頭神事」。高向で生まれ育った北村さんが、神事を担う青年団の一員として参加しながら、伝統をつなぐ地域の人々を取材した。10年前、大学生テレビ局が初めて制作した番組も同じく高向の御頭神事だった。当時小学生だった北村さんが、インタビューを受けていたという偶然もあり、放送後は大きな反響があったという。番組はユーチューブで視聴することができる。
大学生テレビ局の活動は、社会で活躍できる実践的な人材育成を目的に始まった。ZTVの五十嵐正道制作担当部長から番組制作のノウハウを学び、計画性や主体性、コミュニケーション力など、社会人として必要なスキルを身につける。活動はインターンシップでもあり、単位も取得できる。近年は、地域の企業や団体から映像制作を依頼されるようにもなった。
局長の現代日本社会学部4年生山下真緒さん(21)は「活動を通し多くの人と出会い、視野も広がった」と話す。「放送後の反響がうれしい。もっと地域の魅力を見つけて伝えたい。もっと大学生テレビ局の活動を知ってもらいたい」と語った。