来年度米国で作品展示へ 飯野高デザイン科生徒ら 最新複製びょうぶ鑑賞、制作に生かす 三重・鈴鹿

【最新のデジタル技術と伝統工芸の技を融合して製作した高精細複製びょうぶを鑑賞する生徒ら=鈴鹿市三日市町の県立飯野高校で】

【鈴鹿】三重県鈴鹿市三日市町の県立飯野高校応用デザイン科1年生と金沢大の学生、京都府の千總文化研究所が共同で、着物をテーマにした作品を制作し、米国のボストンチルドレンミュージアムに来年度、展示することになった。制作開始を前に15日、同校で、同科1年生80人が、東京国立博物館から借りた二曲一双の高精細複製びょうぶを鑑賞した。

日本美術に親しむとともに、今後の制作活動に生かすのが狙い。

米国向けの作品制作は、同校美術科の森本彩教諭(47)と、アートセラピーを専門とする金沢大融合研究域融合科学系の有賀三夏講師(53)が、教科の枠にとらわれず総合的に学習する「STEAM教育」について共同研究をしている縁で企画。

年内をめどに、着物をテーマに日本の伝統文化の要素を取り入れた作品を制作し、来年度、同ミュージアムで約1年間にわたって展示される計画という。

この日鑑賞したびょうぶは伊勢志摩サミットなどで展示されたもので、表面は尾形光琳の「風神雷神図」、裏面は酒井抱一の「夏秋草図」が、最新のデジタル技術と伝統工芸の技を融合して描かれている。

森本教諭は、LED電球やろうそく、あんどんの光によって作品の見え方が違うことなどを解説。

有賀講師は「子どもたちが勇気や希望など、色んなことを考えるきっかけとなるような作品を作ってほしい」と生徒らに呼びかけた。同講師はアートセラピーを米国で学び、同ミュージアムでの展示を担う。

熱心に話を聞いていた山本蕗さん(15)は「光の種類によって作品の雰囲気が変わる。光を踏まえて作品づくりに生かしたい」と話した。