【度会郡】三重県の南伊勢町地域おこし協力隊を3年間務めた小嶋孝明さん(29)=同町切原=が4月30日で退任し、料理人として新たな活動を始めた。キッチンカーを活用し、町産の食材を使ったフランス料理やイタリア料理を提供。レストランが移動するようにさまざまな場所に出向き、食を通じて町の魅力を発信する。
同町出身の小嶋さんは辻調理師専門学校(大阪)を卒業後、東京のフランス料理店やイタリア料理店で修業し、料理長も務めたが、コロナ禍の影響を受け独立を決意。町が地域おこし協力隊を募集していることを知り、「地元に戻って地域活性化のために料理をしたい」と同町にUターンした。
協力隊の3年間は、海産物の加工販売を手がける「山藤」で、商品開発やECサイトの運営などを行いながら、魚の目利きや魚をさばく技術を磨いた。
料理人としては、フランス語で「自由」を意味する「Liberte(リベルテ)」という名前で、シェアキッチンやイベントに出店。独立に向けて準備を進める中、過疎化や少子高齢化で飲食店が減り、車がないと外食に行くのも不便な同町で料理を提供するにはレストランが移動すればいいと思うようになり、キッチンカーを購入した。
「形にとらわれず、いろんな所に出張して料理を作りたい」と話す小嶋さん。ソムリエやチーズプロフェッショナルの資格も取得しており、要望に応じて一品料理や弁当、コース料理も提供する。
「今後はキッチンカーをやりつつ、旅の目的地になるようなレストランをつくりたい」と意気込みを語った。