伊勢新聞

2024年5月12日(日)

▼県議会の中森博文議長が5月の議会役員改選を前に自身の進退について「会派の最終調整ができていない」と明言を避けた

▼昨年5月の議長就任時は「まずは1年を完遂し、いったん辞表を提出する」としつつ「引き続き担う必要があれば、議員の信を問う」。先月の会見では「わが会派(自民党)だけでなく、他会派の意見も取り入れたい」

▼自分が次期議長の芽があると思えば、その可能性に対する思惑が言動を決める要素になりやすい。議長選考に縁のない会派なら、公平な意見が聞けるという考えがあったのではないか。半面、責任のない意見にもなりやすい

▼議長選挙が目前に迫り、発言が慎重にならざるを得なくなったということだろう。やはり乗り越えなければならないのは他会派より自会派(自民党)だと、1年かけて振り出しに戻ったということでもあろう。直前になればなるほどエゴを含めて本音がむき出しになって、建前が後退していくのが議会の役選でもある

▼県議会が全国の都道府県議会の中で議会改革の先進県とみられた平成10年代、議長任期4年を実現しようとしたことがあったが、短命に終わった。2年が数代続いたが、役選がさっぱり盛り上がらないという理由で、申し合わせ任期だけ2年以内にして、実質1年の旧弊に戻っていた。議会が建前通りのことが実行できるのかが、議員定数問題に続き、議長任期でも問われている

▼会派総会で、始めはコメントを控えようとしたが、同僚議員に求められ伝えたという。物言えば唇寒し春の風――県議会。