自宅のプリンターで偽の1万円札を印刷し、パチンコ店の景品交換所やコンビニで使用したとして、通貨偽造と同行使の罪などに問われた会社員東和孝被告(21)=三重県紀北町=に対して、津地裁(西前征志裁判長)は8日、懲役3年、執行猶予4年(求刑懲役3年)の判決を言い渡した。
西前裁判長は判決で、偽1万円札の使用について「途中で思いとどまることができたにもかかわらず、数日間のうちに6回も犯行を繰り返した点は特に非難される」と指摘した。
一方で「偽造の方法は比較的単純で、ホログラムや透かしがなく、取り立てて精巧とは言えない。実際に店で使われ、通貨に対する社会の信頼が害されているが、偽札がすべて回収され、害した程度は限定的」と述べた。
その上で「被告が事実を認め、実際に生じた損害を弁償。保釈中に仕事に就き、反省して更生の意欲がみられ、同居の両親や職場の親族によるサポートが期待できる」とし、執行猶予を付けた。
判決などによると、東被告は昨年8月、1万円札の画像データをスマートフォンで編集し、自宅のカラープリンターで偽の1万円札を印刷。紙幣の形に切って9枚を偽造し、津市内のコンビニで使用したなどとされる。