マイナ保険証を救急に活用 鈴鹿市が実証事業へ 県内初の取り組み

【今月下旬ごろから始まる救急業務の実証事業をPRする末松市長=鈴鹿市役所で】

【鈴鹿】三重県の鈴鹿市は5月下旬ごろから2カ月間、健康保険証利用登録をしたマイナンバーカード(マイナ保険証)を活用した救急業務の実証事業を実施する。救急車を必要とする傷病者の医療情報を早期把握し、適切な搬送先医療機関の選定などにつなげるための効果を検証する。県内初の取り組み。

国が実施する「マイナンバーカードを活用した救急業務の迅速化・円滑化」のシステム構築に向けた実証事業で、全国67消防本部が選定された。うち、同市消防本部を含む9消防本部が5月から開始。残りの58消防本部は9月ごろからで、県内では津市、四日市市の各消防本部が参加する。

救急搬送時に傷病者のマイナ保険証を使い、救急隊員が専用端末機で医療情報を読み取ることで、病歴やかかりつけ医、服用薬などを正確に把握。搬送中の適切な応急処置や搬送先病院での治療の事前準備につなげる。

現状では既往歴など詳細な情報確認について、本人や家族の記憶があいまいなことも多いことから、負担軽減効果も期待できる。

マイナ保険証の利用については本人の同意を基本とするが、重傷者や意識がない人の場合、救急隊員が判断する。マイナンバーカードを持っていない人や健康保険証利用登録がない人、本人不同意の場合は通常通りの救急業務をする。

8日の定例記者会見で発表し、末松則子市長は「マイナンバーカードの利活用が実証できれば」と話した。

市によると、3月末現在のマイナンバーカード保有枚数は14万3135枚で、市の保有率72・9%。そのうち、健康保険証利用登録者数は把握できない。