伊勢新聞

2024年5月3日(金)

▼憲法改正あるいは改憲が世論の半数以上を占めたような気分になったことがあったが、憲法記念日を前にした共同通信社の世論調査をみると、それまでの慎重論優勢とほとんど変わりない気がする。最長となった安倍政権とは何だったかを改めて思う

▼戦争放棄の9条改正こそ賛否はそれぞれ51対46で拮抗しているが、改憲を「急ぐ必要はない」が65%で「急ぐ必要がある」の33%を大きく引き離した。ロシアのウクライナ侵攻、イスラエルとハマスの戦闘、不穏な中東情勢、東南アジアの緊迫などを考えると国民の気持ちがよく分かる結果と言えないか

▼調査の本筋とは違うが、気になるのは選択的夫婦別姓に賛成が76%で昨年に続き高い支持率だったこと。その中で女性の若年層に限ると88%が賛成で、世代中もっとも高かったことである

▼日本では96%が結婚後は男性の姓にしているという統計がある。男性の姓にするについて特にこだわりがないからという理由が一番とも言われるが、そう思うについては、女性の姓にすると両家、親族だけでなく、隣近所、会社を含めて有形無形の抵抗にあうことがわかりきっていることが背後にあるからとされている。96%という高い習慣が、決して両性の心からの合意に基づいていないことが、選択別姓に対する若い女性の88%の賛成が物語っている

▼若い女性の結婚制度に対する不満が現れたとも言え、晩婚化やふるさと脱出に結びついている可能性は否定できない

▼少子化は男性社会の制度に固執する国会に責任があるとも言える。