チームが2019年夏以降遠ざかっていた頂点。あと一歩で足踏みが続く中、主将として重責を果たした。待望の瞬間に「最高にうれしい」と満面の笑顔を見せた。
決勝後の取材で、開口一番、昨秋の悔しさを打ち明けた。県大会の神村伊賀戦では2番手で登板し、6回4失点でチームも敗戦。春でのリベンジに闘志を燃やしていた。
今大会は主戦投手として、決勝までに2試合に先発し、計11回2失点。決勝は6回を1失点に抑える好投で、打っては逆転の口火を切るチーム初安打を放つなど投打に活躍した。
直球は最速146キロだが、相手チームによって球種の構成を変えるなど、技巧派の一面ものぞかせる。変幻自在な投球は「最近確立したスタイル」と話す。
転換点は冬の熊野合宿。制球が不安定で投球リズムが崩れるという課題に正面から向き合った。フォーム修正が功を奏し、「6―7割くらい」は思い通りに操れるようになったという。
昨秋、チームは爆発力が高かったが「失点したら逆転が難しい雰囲気があった」。今大会は誰かがミスしても誰かがカバーする「全員野球」で接戦を勝ち上がり、結束力を高めていった。
「ベンチやスタンドを含め全員で甲子園へという気持ちで挑めている」と全員野球を強調。「夏まで無敗で駆け上がりたい」とさらなる飛躍を誓った。