伊勢新聞

2024年4月29日(月)

▼「人口戦略担当相」と「人口戦略庁」の創設を、24人の知事でつくる「日本創生のための将来世代応援知事同盟」の会議で一見勝之知事は提案するという。人口戦略会議が「消滅する可能性がある」と公表した全国744自治体に、県内12自治体が入ったことが背中を押したのではないか

▼知事当選から3年目。一見知事にとって不本意な年月と言えなくはない。コロナの猛威で、海外観光客の誘致や経済振興も思うにまかせなかった。特に人口減少問題は就任直後、担当部局がないことに苦言。翌令和4年の年頭に人口減少対策元年を提唱して、県政を力強くリードする姿勢を示した。が、対策方針策定は大きく遅れ、内容についても「弱い」などと議会に指摘される始末

▼県の人口は転出超過が続いている。転出の過半数が若年層であることも周知の事実。県立大学創設がにわかに具体化したのもそのめだが、その場しのぎのアイデアの域を出ず、大学を誘致するどころか議会の納得はもちろん、有識者会議のメンバーからも本気には受け止めてもらえなかった感がある

▼「大学を増やして学生争奪戦を厳しくしてどうするつもりか」と三重大の首脳もまるで理解していないのだからお話にならないのである。一見知事としては国の人脈に働きかける以外、八方ふさがりだったのではないか

▼人口減少都道府県の特徴の一つは若者の流出だが、中でも女性の割合が多いという。女性の希望のなさ、男性優位の社会が共通しているという。思い当たること、なしとはしない。