伊勢新聞

2024年4月25日(木)

▼大手芸能事務所創業者の男子タレントに対する性加害問題で未成年の男子が受ける性被害が注目されてきた。と思っていたら2月、三重県の25歳の男性主事が電車内で男子高校生に複数回痴漢行為をしたとして停職処分を受けた

▼略式命令を受け、本人は県の聞き取りに「身勝手な行為で被害者に多大な迷惑をかけた」と陳謝したそうだが、一方で、男性への性加害は大事にならぬとも考えていたとも。県人事課長も「職員としての自覚や社会的責任を認識してもらうための取り組みを続けたい」

▼ゆとりを感じさせる。女子生徒へのセクハラ、わいせつ行為では定評ある県教委は、男子中学生に対して複数回、わいせつな行為をした公立中の女性養護教諭を懲戒免職処分とし、校長も近く文書訓告とする方針

▼女子中学生へのわいせつ行為で男性教諭を免職にした時は、子どもを傷つけて「痛恨の極み」などと語った福永和伸県教育長だが、今回は「公教育の信頼を大きく損なった」「あってはならないこと」とやや通り一遍の気がするのは、男女の違いというより、事件の性格のせいかもしれない

▼きっかけは生徒が相談で保健室を訪れたこと。“隠れ家”として評価の高い保健室の役割が台無しになるようで残念。問題発覚後、自分を擁護するようSNS(交流サイト)で生徒に伝えていたともいう。私的連絡を取り合うことが厳禁なことも、徹底されてはいないようだ

▼「教諭はしっかりと役割を果たさなければならなかった」(福永教育長)。再発防止への危機感も、感じない。