自宅のプリンターで偽の1万円札を印刷し、コンビニで使用したとして通貨偽造と同行使の罪などに問われた紀北町、会社員東和孝被告(21)の裁判員裁判が22日、三重県の津地裁(西前征志裁判長)であり、検察側は懲役3年を求刑した。判決は来月8日に言い渡される。
この日あった被告人質問で東被告は「ギャンブルや借金でお金に困っていた」と動機を説明。偽造した1万円札を「(偽札だと)バレるかもしれないと思ったが、お金欲しさに使った。後悔している」と話した。
検察側は論告で「犯行は日本の通貨に対する信頼を損なう行為で、本物の通貨だと誤解する人が多発する危険性が高い、悪質な犯行。従業員に直接、紙幣を手渡して会計する店を狙って犯行を繰り返した」と指摘した。
弁護側は最終弁論で「犯行は単純で悪質性は低い。偽造した紙幣はすべて回収され、通貨への社会的信用は失われたとは言えず、重大性も低い」と述べ、両親らが監督に当たることなどから、懲役2年6月、執行猶予3年が相当と主張した。
起訴状などによると、東被告は昨年8月、スマホで編集した1万円札の画像データを用い、自宅のカラープリンターで偽1万円札を印刷。カッターナイフで紙幣の形に裁断して九枚を偽造し、津市内のコンビニで使用したなどとされる。