伊勢新聞

<まる見えリポート>鈴鹿市初の複式学級スタート 合川小、2・3年生14人

【朝の会でクラスの名前を決める児童ら=鈴鹿市三宅町の市立合川小学校で】

三重県鈴鹿市三宅町の市立合川小学校(松浦洋幸校長)で今月、市内初の複式学級がスタートした。松浦校長は「初めてで手探りの部分もあるが、子どもたちの様子を見ながら、複式の良さを生かし、最適な方策をとっていければ」と話す。子どもたちの様子や学校の取り組みを取材した。

複式学級の設置は国の基準により「二つの学年の児童数の合計が16人以下(一年生を含む場合は八人以下)で複式学級とする」と決まっている。

同校は全校児童68人の過小規模校。小規模特認校として、そのうち16人が校区外から通学する。

複式学級となったのは二、三年生計14人の「流れ星組」。内訳は二年生六人、三年生八人。

担任の重責を担う教員歴十年目の伊東優希教諭(32)は、旧二年生の担任から持ち上がった。一年前から複式学級を見据え、一年生(現二年生)と交流の機会を増やしたり、子ども中心の授業を心がけてきた。もともと人数が少なく、異学年による縦割り班などでつながりもあることから、子どもたちもスムーズに移行できたという。

伊東教諭は「学年は違うが、同じクラスの仲間としてお互いに助け合える関係を育んでいけたら」と話す。

今年度の授業は環境に順応しやすいよう、教師一人が二学年同時に別々の内容を指導する「わたり授業」ではなく、教師が二人体制で学年別に授業をする「単式授業」での実施となり、14人が同じ教室で授業を受けるのは朝の会や帰りの会、給食、学活、掃除の時間など。

複式学級は学年を超えた学習集団になることで「多様な考え方に触れやすくなる」「リーダー性や自主性が育ちやすい」などの長所が見込まれる一方、単式授業の場合「少人数のため学年を超えた多様な考え方が交流しづらくなる」「移動教室が頻繁にあり、休み時間が削られるため二、三年生には負担が大きい」などの課題があるという。

15日、朝の会と一限目の授業、休憩時間を見学させてもらった。着席している子どもたちを後ろから見ているだけでは、学年の違いは分からない。朝の会ではクラスの名前について全員で自由に意見を出し合い、「色んな個性を表す名前にしたい」と、多数決で「流れ星組」に決めた。

一限目は二年生が算数、三年生は国語の授業。三年生は基本的に隣の教室を使う。移動距離を短くし、子どもたちの負担にならないよう配慮する。

学年別の授業の様子を見ると、確かに二年生より三年生の方が落ち着いて先生の話を聞いているなとか、二年生はまだあどけなさが残って元気がいいなという違いは感じたが、どちらも人数が少ない分、主体的に授業に参加している印象を受けた。

複式学級について、子どもたちはどのように感じているのだろうか。二年生の宇野綾音さん(7つ)は「賑やかで楽しい」と笑顔を見せ、三年生の伊藤加奈恵さん(8つ)は「クラスの人数が増えて給食の食缶が重くなった」と笑い、「それ以外は二年生と一緒でも変わらない」と話す。子どもの目線でも違和感なく、自然に受け入れているようだ。

伊藤教諭は「まだ始まったばかりで分からないことばかり。こどもたちにとっても初めてのことなので、一緒に学びながら歩んでいきたい」と意気込みを語った。