▼三重県議会医療保健子ども福祉病院常任委員会を傍聴していた副議長で津市選出の杉本熊野議員が、同市の4歳女児暴行死事件の議論で発言し「虐待予防の中核は市町」。事件発生後の昨年7月、同市の前葉泰幸市長は記者会見で「あくまでも権限と責任は県にある」
▼おや、いまだ中核なり責任なりの所在について、リーダーらの共通認識はなさげ。再発防止策を協議、審査することがむなしく思えてこないか
▼女児の安全を5カ月間対面で確認していなかった背景に検証委は報告書で人事異動に伴う職員の不慣れやサポート不足をあげたのに対し、委員が「恥ずべき」と指摘し、枡屋典子子ども・福祉部長が「全くその通り」と改善を誓ったのに、担当者は「あくまで検証委がまとめたこと」で県としての正式な見解ではないと言い出したらしい
▼県職員の特質がよく表れた話で、以前はAI(人工知能)のせいのように言ったことと通じる。再発防止策の議論を横道に引き込む役割しかあるまい。児童虐待死や重篤事件が相次いだ平成24年ころ、児童相談所などで回覧する機関紙に新しく配属された職員の嘆きが載っていた
▼辞令一つで不慣れな職場にきて、精神的にも肉体的にもきついという内容。人事異動を待つニュアンスもあった。福祉部門は専門職化する傾向があり、特別養護老人ホームで、入所者に手をさしのべられ、思わず手を引いた幹部もいた
▼財政と人事の県の2本柱について、財政はカネで済むが人事は生身を扱う―とその難しさがいわれる。正式かどうかはともかく、今も昔も状況に変わりはないか。