対応不足の背景に「人事異動」 女児虐待死事件で三重県が説明 「言い訳にならない」と指摘も

【児童虐待の再発防止策について説明を受ける医療保健子ども福祉病院常任委=県議会議事堂で】

三重県議会の医療保健子ども福祉病院常任委員会(川口円委員長、8人)は17日、津市で母親から暴行を受けた女児=当時(4つ)=が死亡した事件の再発防止策について、県当局から説明を受けた。「職員の人事異動」が女児への安否確認が不十分だった背景とされることに対し、委員が「言い訳にはならない」と指摘。人事異動時に虐待への対応が滞らない体制を整えるよう求めた。

県によると、事件を巡っては、保育園から「女児が全く登園しなくなった」との情報が寄せられてから女児が亡くなるまでの5カ月間、児童相談所は対面で女児の安全を確認していなかった。

この背景について、有識者でつくる検証委員会の報告書は「担当者の人事異動などで不慣れな状況が生じることがある中で、新規異動に際して人材育成やサポート体制が不十分だった」とした。

常任委では、野口正委員(自民党、3期、松阪市選出)が「5カ月も放っておいた原因が人事異動だと言うなら、解決のしようがないイメージを持たれてしまう。恥ずべきこと」と指摘した。

これに対し、枡屋典子子ども・福祉部長は「恥ずべきことだと言われれば、全くその通り」とした上で「人事異動を言い訳にしないよう、引き継ぎの体制を構築したい」と説明した。

一方、同部の担当者は人事異動が問題の背景とされることについて「あくまで検証委が職員への聞き取りを元にまとめたこと」と説明。県としての正式な見解ではないとの認識を示した。

野口委員は「検証委は根拠なしに背景を言わないはず」として経緯を尋ねるも、担当者は「聞き取りの発言を細かには把握していないが、人事異動が理由と言ったわけでない」と答えた。

同常任委に所属していない杉本熊野議員(新政みえ、5期、津市)も傍聴席から発言。「虐待予防の中核は市町。二度と起こさないと言うなら津市の再発防止策も記述すべき」と訴えた。

県の再発防止策は、検証委の報告書を踏まえて策定。児相の人員増や対面による安全確認の徹底などを明記した。平成16年に制定した「子どもを虐待から守る条例」の改正も検討する。