伊勢新聞社の政経懇話会が12日、津市新町のプラザ洞津であり、一級建築士で建築エコノミストの森山高至氏が「建築業の未来を占う 大阪万博混乱の行方」と題して講演した。森山氏は大阪・関西万博は会場も含め問題が山積しているとし、「延期して、パビリオン会場を移転すべきだ」と語った。
森山氏は来年4月の大阪・関西万博について、開幕まで一年となる中で、完成が間に合うかなど混乱が続いていると指摘。
万博会場を囲む「万博リング」の建設が進む一方、メインとなる各国パビリオンの多くが設置されていないとし、「先にリングを作ったことにより、外から見ればうまくいっているように見えるが、問題が隠されている状況だ」と強調した。
各国パビリオンの建設が進まない問題として、会場が埋め立て地のため地盤が軟弱で工事が困難なことや、それに伴う工事費の増大、職人不足のため受注が進まないことなどを提示。「万博協会は機会提供しているだけで、パビリオンは各国任せの無責任状態」と批判した。
その上で「もはやここまで来て、何事もないように進めていくことはできない」と指摘。解決策として、開催を延期した上で、会場の一部移転を提唱。「リングだけ夢州に残しておいて、パビリオンは移転すべき」と強調した。
移転先の候補地としては関西国際空港に近い大阪の南エリアや、万博記念公園の活用などを挙げ、「アクセスもしやすく地盤対策にもなる」と述べた。
森山氏は岡山県生まれ。早稲田大理工学部および政治経済学部大学院卒。建築と経済を専門とする希有な存在として、日本各地の自治体で地域再生や公共工事適正化のためのコンサルティング活動を行っている。TVや新聞、雑誌などメディアに出演、執筆、コメントも多数。