【伊勢】かつて伊勢を拠点に活動していた日本画家たちを紹介する特別企画展「神都画人」が、三重県伊勢市中之町の伊勢古市参宮街道資料館で開かれている。29日まで。
全国からの参宮客でにぎわった伊勢には、多様な文化が伝わり、日本画の分野では、江戸中期から昭和初期にかけ約140人の画家が活動したという。
同館では、知られる機会の少ない伊勢の画家「神都画人」を後世に伝えようと、平成25年以降、8回にわたり企画展を開催。その集大成として先月、江戸中期以降に活動した神都画人53人の作品計359点を掲載した図録を刊行した。刊行を記念した特別企画展を前、後期に分け開催する。
開催中の前期展では、江戸中期から明治期の代表的な画家10人の作品計30点を紹介。京都で活躍した絵師・円山応挙に師事した画僧の月僊(げっせん)(1741―1809年)、写実的な円山派の画風を伊勢に伝えた岡村鳳水(1770―1845年)、神宮神官でもあった磯部百鱗(ひゃくりん)(1836―1906年)らの代表作などを展示し、解説パネルで伝えている。
世古富保館長(75)は「伊勢の画家は多くが無名だが、レベルの高い優れた作品を残している。ぜひ会場で、実物に触れてほしい」と話す。
また、刊行された図録「神都画人」は、市立図書館や県立図書館などで閲覧することができる。世古館長は「これまで神都画人に関するまとまった資料はなかった。郷土の歴史的文化を後世に伝える一端になれば」と話していた。