伊勢新聞

2024年4月11日(木)

▼三重県議会の正副議長会見で、新たな風を感じさせた。5月の役員改選を控え、中森博文議長が続投に含みを持たせ、杉本熊野副議長は女性初の議長に、改めて意欲をみせた

▼議長任期は申し合わせで2年以内となっているという。知っている県民は多くないのではないか。1年交代がルールであるかのように継続している。ルールと実質との食い違いが、議会の信頼に影響していると言えなくもない

▼改革議会として、県議会が全国の先頭を走っていた頃、議長任期は4年にしたこともあったが、すぐに2年になり、実質1年になったのは、毎年の役員選挙が沈滞してきたことが一因。議会運営にもっとも期待される議長待望組に任期中は議長の順番が回ってこないことが決まると、運営に支障をきたすようになることもある

▼全国的には、町村議会の議員のなり手がいないことが問題になっている。検討委員会によると、自治会活動の停滞が候補者難になっているという。県でも、立憲民主党の次期参院選候補が決まらず、公募期間を延長するという

▼国政への県議の関心が薄れているのかもしれない。中森議長は自らの進退について「慎重に、そして丁寧に、わが会派(自民党)だけでなく、多くの他会派の皆さんの意見も取り入れたい」と語った。成算ありということか

▼元知事の野呂昭彦氏の父恭一氏が続投した時は、改選前の承認の空気が一変して議会運営が行き詰まり、途中辞任した。議会の魅力を高める方策との二人三脚が必要だろう。女性初の議長はその条件を備えている。