【鈴鹿】三笠宮家の彬子さまは8日、三重県鈴鹿市寺家の市伝統産業会館と桑名市桑名の六華苑を訪れ、伊勢型紙・鈴鹿墨や折り紙「桑名の千羽鶴」の展示と実演を視察・体験した後、帰途に就かれた。
彬子さまの両施設訪問は初めて。伝統産業会館では、地元の小学生10人が日の丸の旗を振って彬子さまを出迎えた。
館内では、伊勢形紙協同組合の小林満理事長(65)が、先導者として伊勢型紙の歴史を説明し、「伊勢型紙は技法によって使う道具が違う」などと話した。
また、伝統工芸士会の今坂千秋会長(67)は、道具彫りの実演を披露。
彬子さまは「それぞれの技術の人をしっかり育てていかないといけないですね」と話し、今坂さんが彫った四つ花柄の型紙を手に取って、じっくりとご覧になった。
その後、鈴鹿墨の伝統工芸士伊藤晴信さん(36)が、すすと膠(にかわ)、香料を混ぜる「墨練り」の作業や練った墨を型に入れる工程を実演。彬子さまは「すすや膠はどうやって手に入れるのですか」など、熱心に質問された。
視察後、今坂さんは「緊張したが、型紙や道具を手に取って見てくださり、親しみやすさを感じた」、伊藤さんは「自分で墨をすっていると話されて、墨の写真を見せていただき、造詣が深い印象を受けた」と話した。
六華苑では、国の重要文化財となっている洋館・和館を見学し、桑名市無形文化財の「桑名の千羽鶴」について説明を受けた。
彬子さまの来県を受け、一見勝之知事は「県が有する伝統産業や文化財への理解を深めていただくことができた。彬子さまの一層の清祥と活躍をお祈り申し上げる」と謹話を発表。
末松則子鈴鹿市長は「鈴鹿市への再びのご来訪をお待ち申し上げます」との謹話を発表した。