2024年3月29日(金)

▼突然閉園が通告された津市美里町の私立保育園「美里さつき保育園」の後を大阪府貝塚市が本社の「特定非営利活動法人あいうえお」が引き継ぐことになり、津市は、通告まで経営状況が分からなかったのを教訓に、新設置者には市が財務状況を監督できる社会福祉法人を設立させたと発表した

▼閉園した前設置者も社福法人だったではないかと27日の本欄で書いたが、認識不足だったようだ。前設置者の法人本部設置場所は愛知県岡崎市で津市に監督権限はなく、文字通り寝耳に水だったらしい。しかも前設置者は県外の津市の前保育園のほか、静岡県で複数の特別養護老人ホームを運営しており、認可は岡崎市ではなく、愛知県だったという

▼事業の継続に関しては補助金の支給先である行政から年度ごとに厳しいチェックが入り、運営者にとっては長期間手続きに忙殺される頭の痛い時期とされるが、前社福法人は、それほどの審査はどこからも受けていなかったのではないか

▼前社福法人から基本財産である土地建物を引き継ぐに際し、債権者らの財産処分の同意取得を愛知県から同法人に求められ、終えたのが1月15日。昨年6月末閉園から半年以上かかった。「ようやく適正な基本財産の移転として承認されました」と前葉泰幸市長が市広報紙最新号に書いている。行政手続きの複雑さを物語っていないか

▼新環境確保は「地元の皆さんが真剣に善後策を考えたから」と同市長。それはそれとして、それほど真剣に考えなくても済む仕組みの構築も、教訓として必要だ。