愛子さまは27日、明和町竹川の斎宮歴史博物館と同町斎宮の「いつきのみや歴史体験館」を視察し、天皇に代わって伊勢神宮に仕えた未婚の皇族女性「斎王」の制度全般や伊勢での斎王の暮らしなどについて、展示や映像を使って説明を受けられた。歓迎のため施設前に集まった小学生に声をかける場面もあった。
愛子さまの両施設訪問は初めて。前日に県入りした愛子さまは、この日淡い水色のツーピース姿で宿泊先の鳥羽国際ホテルから、午前10時前ごろ同博物館に到着。大西宏明同博物館館長、天野秀昭・同博物館学芸普及課長らから説明を聞いた。
斎宮に関わる古典文学の一つ「伊勢物語」第69段「狩の使」(在原業平と斎王の恋の物語)の場面が描かれた「伊勢物語絵巻」の展示で、天野課長が斎王のラブロマンスとして説明したところ、愛子さまは「斎王は恋愛はしてはいけなかったのですか」との趣旨の質問をし、天野課長は「神に仕える存在。恋愛はゆるされていなかった」と答えた。
中世を代表する歌人・式子内親王の和歌三首が斎宮の文学関係資料展示の中にあったのには、「(同内親王を)卒論で扱いました。(歌の内容が)非常に美しい」という考えを示したという。視察後の取材に、天野課長は「(歌を)パッと見て分かるものではない。すべてよくご存じという前提で発言なされたのではないか。式子内親王の歌をしっかり研究されたと感じた」と話した。
映像展示などでは、斎王が京都からの道中、鈴鹿峠を越えるシーンがとても大変そうだと驚き、斎王が乗る輿の重量に興味を示していた。
愛子さまはこの後、斎宮最盛期の平安時代の歴史・文化を体験できるいつきのみや歴史体験館に移動し、体験コーナーで古代の遊び「盤すごろく」や「貝覆い」「卯づちづくり」を体験している小学生に声をかけた。
貝覆い体験をしていて「コツは何かありますか」などと声をかけられた同町立斎宮小学校五年の中村友与さんは「すごく丁寧で心にずっと、死んでも忘れない思い出になって良かった。優しくて、何ごとでも興味を持つような、いい人だなと思った」と感想を話した。
桃の木と五色の組紐で作るお守り「卯づち」づくりでは、「これは何分くらいでできますか」と質問。「30分くらい」と小学生が答えると、「そんなに短い時間でできるんですね。難しいと思うけど頑張ってください」と話したという。
この後、近鉄宇治山田駅では多くの市民らの見送りに笑顔で手を振って応え、午後0時40分ごろ、近鉄特急で次の訪問先の奈良県へ向けて出発。橿原市の神武天皇山陵に参拝し、この日夜に皇居へ戻られた。