▼コロナ禍に伴う人流の停滞が終わり、国内外とも旅行客が活発になったとされているのに、バス業界は働き方改革関連法に基づく時間外労働(残業)の上限規制が4月1日から導入されるために運転手不足が深刻化し、日本バス協会は「減便や路線廃止拡大は避けられない」と危機感を表明している
▼業界の労働時間は全産業比で1割ほど長く、過労抑止を図る狙いだが、運転手は現状でも足りておらず、不足は2万1000人分に広がるというのが協会の試算だが、人口減、過疎化が追い打ちをかける。庶民の足の将来はまことに心細い
▼県内でも、四日市―中部国際空港間の高速バスがコロナ禍で便数が減ったと思っていたら4月1日で運行休止になるらしい。安価だし、スーツケースなどの手荷物も途中の乗り換えなしで空港まで運べる。便利だと利用していた北勢から海外観光へ向かう観光客をがっかりさせている
▼四日市―大阪間も休止というから、四日市市の観光客誘致戦略に支障はないか。かつて路線バスの縮小に国、市町村を巻き込んで対策協議会を運営した県は、訪日外国人(インバウンド)誘客を重点施策に掲げるのにバス業界の危機に特に関心を払う様子はない
▼危機はバス業界だけではないのかもしれない。中南勢の県民が利用する海上交通も昨年後半、運賃が値上げされた。片道約3千円。格安海外旅行を探しては楽しんでいる友人が「2泊3日で1万9千円の格安パックを利用して、運賃が往復で約6千円になってはねえ」と、苦い薬でも飲んだような顔をした。