伊勢新聞

2024年3月25日(月)

▼いつぞや国から招いた副市長が市長と縁戚関係にある企業の指名停止期間短縮を求めて県幹部を訪ねたことがある。また、公正取引委員会の委員が同委の出す勧告などについて、企業が不平はあっても裁判などにせずに従うのは、国や地方自治体が連動して指名停止にしてくれるからだと言っていた

▼公共事業から閉め出されるのは、たとえ3カ月でも影響は甚大で、早急に期間を終了させるのが最良の選択肢。裁判などで長引かせるのは避けたいのだという。県が、企業庁発注工事を巡る贈収賄事件の再発防止策として、指名停止期間の下限を引き上げる

▼贈賄の下限は「4カ月」から「12カ月」へ、談合は「4カ月」から「8カ月」へ。上限の変更はなく、贈賄が「24カ月」、談合が「12カ月」だが、停止期間終了後の1年間は総合評価方式で減点措置にする

▼大いに効果が期待できるのかもしれないが、その後の企業庁への包括外部監査で判明した入札金額の同額の多さや、じゃんけんで落札業者を決めていること、また一者入札が増えていることなどは、見て見ぬふりを決め込んでいるやに見えるのは気になる

▼県は内部向けにも関係法令などの順守を義務けた。5年前に倫理規程を設けたが発注業務に特化した規程はなかったので「秘密を関係者以外に漏らしてはならない」など、当たり前のことを改めて明記した

▼指名停止期間の下限引き上げに特化した今度の再発防止策が、また新たな措置の必要に迫られるかもしれないが、それはまたそのときのことなのだろう。