【鈴鹿】三重県鈴鹿市は22日、同市南長太町の県指定天然記念物「長太の大楠」で、周囲の安全確保のため、民地に落下の危険性がある枯れ枝の切除作業をした。樹勢回復事業の一環。
「長太の大楠」は樹高約26メートル、樹齢千年を超えると言い伝えられているクスノキ。令和2年9月の落雷により、樹木の上部から根部まで電気が貫通したとみられ、通電を原因とする樹皮のはがれや枝の枯れが確認された。
市は令和3年度から、生き残った根を再生させるための土壌改良作業などを継続している。
この日は、同市十宮一丁目の樹木医、中村昌幸さん(53)を含む四人が作業にあたった。
中村さんが回復の見込みがない枝を選別し、どの部分を切るかなどの指示を出し、高所作業車に乗った作業員2人が、最大直径30センチ程度の太さの枝を部分ごとに切り落とした。
そのほか、4月に実施予定の土壌改良作業に向け、葉の色や芽の生え方など越冬した木の状況を確認した。
事業費として、みえ森と緑の県民税市町交付金を財源とした「ふるさとの木保存活用事業補助金」の59万8千円を充てる。
中村さんは「元の樹形に再生するのは難しいが、残っている部分をどう保護していくかを考えている。大楠の生命力を見極めながら、効果的な手助けをしていく」と話していた。