伊勢新聞

2024年3月22日(金)

▼レジ袋の有料化で、河川などに浮かぶプラスチックごみはペットボトルも含めてかなり減った印象だが、事態はやはり遅かったか。日本人の血液から初めてプラスチック微粒子が検出された

▼検出量はわずかで「直ちに(健康などに)影響が出るレベルではない」というのが検出・分析した東京農工大の高田秀重教授の話だが、特別な人々から検出されたわけではない。かなり広がっているとみていいのではないか

▼血液中からプラ微粒子が検出されたのはオランダに先例があるだけというが、臓器に取り込まれているケースは世界の各地で報告されている。それらが人体にどんな影響があるのか、専門家が懸念しながらよく分からないというのも不気味だが、プラスチック製品から出た有害添加剤も見つかっていて、こちらはポリ塩化ビフェニール(PCB)など有害化学物質

▼いわゆる環境ホルモンで、摂取量などによっては「生殖作用などに影響を与えることが懸念される」(高田教授)。人間のメス化現象を招くとして一時恐れられた環境ホルモンであることを思えば、慎重な言い回しと受け取れなくもない

▼プラ微粒子は海中だけでなく魚介類はじめ動物の体内に取り込まれているが、大気中に飛散もして、人間も吸い込んでいる

▼ウミガメやクジラの死骸から大量のプラスチックごみが出てきているのはよく知られているが、水産国日本がプラ微粒子の研究に予算をつけたのは最近のことらしい。対策となるとまだ先のことになるのか。