明和町長選、立候補3氏の横顔

【右から、奥田隆広氏、西井一博氏、下村由美子氏】

【多気郡】世古口哲哉明和町長の交通事故死に伴う町長選挙は24日、投開票される。いずれも同町明星、新人無所属の元会社員奥田隆広氏(66)、民泊業西井一博氏(77)、元副町長下村由美子氏(63)=届け出順=の3氏が立候補した。3候補の訴えや人物像を紹介する。

突発的に立候補 奥田隆広候補

テレビ番組でバブル経済や竹下登内閣のふるさと創生1億円事業を振り返る場面を見て、明和町は1億円を何に使ったか知りたいと思い、町役場に問い合わせたところ、「34年たっているから関係文書は処分して、保存していない。情報がない」と聞かされ、町長選に「突発的に出ようと思った」と語る。

三重短期大学第二部法経科に在学中、名古屋駅前で統一教会(現世界平和統一家庭連合)から声をかけられ入信。同短大を3年の休学を挟んで卒業後、東京で同教会の経済活動に従事してきた。平成4年に同町へ戻り、自動車部品関連企業で働いた。同じ信者と結婚したが、妻が同教会を脱会したのを機に、10年ほど前に脱会した。

同教会への献金額は4、5千万円に上ると話す。今は、「統一教会は裁判できちんと答えていない。グレーな部分がある」と考える。

同教会から脱会後に離婚し、妻、娘と別れた。父を中学生の時に亡くし、母は高齢者施設に入所。現在は一人暮らし。

供託金50万円は生命保険を解約して確保した。

3度目の挑戦 西井一博候補

町長選は3度目の挑戦となる。「まちを良くするために出る。民間出身でしがらみがない」とアピール。「稼ぐまちに変えないと新庁舎も建てられない」と訴える。

松阪工業高校を卒業後、三菱化学に入社。四日市市に配属され、茨城県の鹿島コンビナート開発や米国でのプラント建設に携わった。早期退職してコンサルタント・貿易会社を立ち上げ、6年前から民泊業を営んでいる。

サッカーは日本スポーツ協会公認スポーツ指導者として少年サッカーチームの監督を務め、鹿島サッカー協会事務局長として鹿島アントラーズの土台づくりに励んだ。「ジーコに教えてもらったことがある」

平成17年から令和4年にかけて、慶応義塾大学の通信教育課程で経済学部、法学部乙類(政治学科)、同甲類(法律学科)を卒業した。

「会社をやろうと思ったので経済学部。法学部は、もしかしたら町長になるかもしれないと考えて。18歳で会社に入る時から世の中のために、と思ってきた」と語る。

座右の銘は「夢いつまでも」。

亡き町長に共感 下村由美子候補

2年前に再選した世古口哲哉町長の交通事故死を受け、「今の行政運営を停滞させることなく継続する。そのために出る」と決断。「住みたい、住み続けたいと思える笑顔あふれるまちづくりに尽力する」と決意を語る。

金城学院大学文学部社会学科を卒業後、同町役場に入庁。福祉子育て課長、福祉保健課長、こども課長を歴任した。

福祉部門が長く、県内で先陣を切って福祉のまるごと相談支援係を発足させた。「個々にやるよりワンストップで対応し、必要なところへ持っていく」という仕組み。住民目線の行政運営に務めてきた。

初当選した世古口氏から打診され、副町長に就いた。「町民のために」という世古口氏の姿勢に共感し、重責を引き受けた。

「大学時代の先生から、誰々さんのお母さん奥さんと呼ばれるのでなく、固有名詞でいきなさいと言われ、社会に出てから心がけてきた。それがすごく根底にある」と話す。

夫婦で二人暮らし。長男長女は医師看護師。

座右の銘は「至誠一貫」、いつも誠実に。