伊勢新聞

2024年3月19日(火)

▼来年度当初予算に県の本庁舎建て替え費が積み立てられていないと、舟橋裕幸県議が県議会常任委委で「約束と違う」と批判し、総務部長が「部内で十分に議論できていなかった」「他の事業を削って積み立てるものではない」など答弁したのに対し「許しがたい」と言い放った

▼いったいどんな“約束”で、なぜそんなけんか腰のような言葉を浴びせなければならないのか、大方の県民にはのみ込めなかったのではないか。県庁内のコップの中の話の気もする

▼かつて県伊勢庁舎の改築着手が遅れ、議会からクレームがついたことがある。この時は県全体の庁舎の改修計画があり、全体の進行に遅れが生じるからだ

▼いつの時代も、議員は職員の職場環境に心を砕いているというわけでは必ずしもない。庁舎改修計画の最後尾に位置づけられていたのが議会棟だった。次の県議選で引退する同僚議員に1日でも新しい議会棟を味あわせてやりたい。そのためには時間がないという思いだった

▼県は庁舎や老朽化する校舎の建て替えを見越し。昨年基金を設置。毎年10億円積み立る方針を示している。この「方針」が“約束”の中身ということか。「計画」との違いは「部内議論」の多寡だけでなく“権威”もあるのではないか

▼舟橋議員が県職員出身で県職労の支持を受けていることは誰もが知っている。地元に特化した問題をあまり強く求めるのは厚かましいとして控えたり、同僚議員に代行してもらったりするが、舟橋議員も、老朽校舎建て替えなど別の狙いがあるのかもしれない。