三重県に鳥羽水族館を設立した同館名誉館長の中村幸昭(なかむら・はるあき)氏が12日午後10時22分、伊勢市の施設で死去した。96歳。鳥羽市出身。自宅は鳥羽市鳥羽3丁目。通夜は14日午後6時から、告別式は15日午後1時から、共に同市若杉町762の「JA葬祭虹のホールとば」で。喪主は長女睦美(むつみ)氏。後日お別れの会を予定している。
中村幸昭氏は昭和30年、父と共に同水族館を設立。同38年に同水族館社長となり、同55年から館長、平成17年からは名誉館長に就任していた。数々の公職も歴任し、鳥羽商工会議所会頭を昭和63年から6期19年間、ほかに鳥羽市観光協会会長、鳥羽市議、県博物館協会長、日本動物園水族館協会副会長、名古屋税関名誉署長なども務めた。
県知事表彰、藍綬褒章、旭日小綬章などを受けた。会頭在職中などユーモアたっぷりの語りで多くの人を魅了し、伊勢鳥羽志摩観光をアピール。平成17年の本紙インタビューには、「新幹線ゼロ、空港ゼロは三重と奈良県しかない」と指摘し、リニア中央新幹線着工に合わせて名古屋―鳥羽間に新幹線を走らせる「ミニ新幹線構想」実現の夢を語っていた。
鳥羽水族館の若井嘉人社長は「今年1月3日に突然水族館に来られてお元気な姿を拝見したところだったので、突然の訃報に驚いている」。「水族館創成期より、その調査研究への熱意をもってジュゴンやラッコ飼育への道筋をつけられ、抜群の広報力によって会社の知名度を飛躍的に向上」させたとし、「多大な功績に敬服する。口癖の『夢とロマン』を忘れずにこれからも館を盛り上げていきたい」とコメントした。