【四日市】認定特定非営利活動法人・三重いのちの電話協会と一般社団法人・日本いのちの電話連盟は10日、岐阜県関市の臨済宗妙心寺派大禅寺住職の根本一徹(僧名・紹徹)さんを講師に迎えて、四日市市安島のじばさん三重6階ホールで「自殺防止講演会&映画上映」を開いた。厚生労働省支援事業。118人が受講した。
講演に先立ち、オランダ人監督が根本さんを主人公に撮ったドキュメンタリー映画「樹海の上、浮き漂うわが心」が上映された。生きることに絶望した3人が、禅僧の根本さんとの出会いで人生の美しさを再発見して行く姿を3年かけて捉えた作品。
「絶望のトリセツ~様々(さまざま)な死生観より」を演題に、根本さんは、うつ病が悪化して死ぬことしか考えられないと悩む女性から相談があったことを話した。寺で繰り返し座禅を組んでいた女性が「夕焼けがきれい」と感動の声を上げたと語り、色も景色もない世界だったという女性が悩み続けた後に小さな悟りにたどり着いた瞬間だったと振り返った。
1年後、元気になった女性が明るい笑顔で再訪してくれて驚いたと述べ、座禅により無心になることで心と体のバランスが整えられ、目の前のものがしっかりと見えてくると説き、「感謝すること、大丈夫、何とかなるの気持ちで生きよう。悩んだ分、全てが心の糧になる」と呼びかけた。
根本さんは僧侶の傍ら、20年前から若者を中心に自死防止相談活動や自死遺族支援を開始。対面相談だけでなく、ネットやメール、SNS(会員制交流サイト)を使った独自の相談スタイルで、生と死の意味を共に考えている。