陸上競技800メートル、1500メートルの女子県高校記録保持者で、2022年U20日本選手権800メートル優勝などの実績を持つ松本未空が今月、鈴鹿高校(鈴鹿市)を卒業した。鈴鹿市立平田野中時代から女子ジュニア世代の県内中長距離界を引っ張ってきた18歳は実業団の豊田自動織機(愛知)でさらなる高みを目指す。
母、兄も陸上経験者。2学年上の兄・颯真さんは全国高校駅伝の常連・伊賀白鳳高校(伊賀市)でエースとして活躍し、現在も東海大(神奈川)で競技を続けている。
小学時代は2年ほど水泳競技に取り組んだ程度のスポーツ歴だったが、6年時に出場した男女混合の校内マラソンで、颯真さんが小学生時代に出した記録を上回るタイムで優勝し、実力の片鱗を示した。
その後、三重市町対抗駅伝の鈴鹿市代表に選ばれたことをきっかけに陸上の道へ。平田野中で陸上競技部に入部し、本格的に練習を始めると、2年時の全日本中学校選手権(全中)女子800メートルで4位入賞した。
中学卒業後は、陸上競技部で3年間指導を受けた田中将吾教諭とともに鈴鹿高校へ。入学と同時期に強化指定クラブになった陸上競技部を1年目から引っ張り、2年目の全国高校駅伝初出場、3年目の同大会2年連続出場の原動力となった。
試練にも直面。新型コロナウイルスの影響で、20年には三重全中、21年には三重とこわか国体と、大きな目標を2年連続で失った。高校からは故障に悩む期間も増え「しんどい時期の方が多かった」。
高2のU20日本選手権女子800メートル優勝、JOCジュニアオリンピックカップU18競技大会女子1500メートル優勝とトラックレースで実績を残す一方で、全国高校駅伝などのロードレースでは結果を残せず、悔しい思いもした。
4月からの所属先、豊田自動織機は、1000メートル、1500メートル、3000メートル、5000メートルの女子日本記録保持者・田中希実選手も昨年まで所属していた名門。同期入社する高卒ルーキーたちも「トラックもロードも強い、ポテンシャルの強い選手ばかり」。
それでも「チャレンジャーって言う『立ち位置』の方が自分としては得意」。持ち前の負けん気を生かしてまずは800メートル、1500メートルの中距離を中心に頭角を現す。目指すのは「強い選手」と同時に「(周囲から)応援したいと思ってもらえる選手」だ。