伊勢新聞

<これでいいのか、三重>読書せずゲーム、学力低迷 学テ正答率高い「読書好き」

【全国学力・学習状況調査の結果を伝える県教委のリーフレット】

三重県内の小学六年と中学三年を対象に実施した令和五年度の全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)の平均正答率は、中学の数学を除く四教科で全国平均を下回った。学力レベルの低迷が続いている。授業以外の学習や読書の時間も全国平均を下回る。

中学数学の正答率は51・3%で全国平均を0・3ポイント上回るが、他は下回る。小学国語は0・3ポイント、同算数は0・7ポイント、中学国語は1・1ポイント、同英語は0・6ポイントそれぞれ低い。

ただ、平均なので県内一様ではない。松阪市は小学2教科平均で全国平均を1・6ポイント上回り、中学3教科平均でも0・1ポイント高い。県平均はいずれも0・5ポイント低い。

1月26日の同市総合教育会議では「松阪市の学力レベルが劇的に上がった背景について」が議題に上がった。

基礎学力の定着を進めた成果が報告され、正答数が問題の半数以下にとどまった児童生徒の割合の推移が示された。その割合が前年度から改善した学校数は、小学校36校のうち国語で33校(91・7%)、算数で24校(66・7%)。中学校11校のうち国語で7校(63・6%)、数学で9校(81・8%)に上った。

また同市は授業でパソコンやタブレットなどを週1回以上使用した割合が小学校94・5%、中学校97%と高く、それぞれ全国平均を8・2ポイント、9・5ポイント上回る。1人1台端末の活用が進んでいる。

だが、「学力レベルが劇的に上がった」同市の「読書は好き」の回答は、小学生68・8%、中学生62・3%で、全国平均をそれぞれ3ポイント、3・7ポイント下回る。「『読書が好き』と回答している児童生徒の方が、教科の平均正答率が高い傾向が見られる」と分析され、学力の基盤に課題を残す。

平日に10分以上読書をしている子どもの割合は県平均で全国平均に届かず、小中それぞれ2・8ポイント、4・7ポイント低い。下回る状況が続いている。

元年度調査で「10分以上読書をしている小学生の平均正答率は、国語、算数ともに全国平均を上回っています。また、『10分~30分』『30分~1時間』と回答した中学生の平均正答率は、各教科で全国平均を上回っています」との結果が出ていた。

3年度調査では、1日テレビゲームを3時間以上と回答した小中学生の割合は全国平均をそれぞれ2・4ポイント、6・6ポイント上回り、「時間が長いほど、教科の平均正答率が低い傾向」「特に、中学校数学では、平均正答率の差は著しい」と報告された。

県教委学力向上推進プロジェクトチームは「子どもが本に親しむ原点は『楽しさ』です。家庭は子どもが読書と出会うきっかけをつくる大切な場です」「テレビゲームをはじめ、スマートフォンの使用等について家庭で話し合ってルールを決めて守るなどの自己管理能力を育て、生活習慣を確立していくことが大切」と呼び掛けていた。

基礎学力の定着や情報機器の活用など学校での取り組みに加え、学力向上では家庭の力が大きい。本を読まない親が学力低迷に寄与している。