2024年3月9日(土)

▼春闘の集中回答結果の公表日が迫っている。物価上昇に追いつくには7%程度の賃上げが必要とされるが、一部大企業を除いて達成される見込みは少ない。なぜ、日本の賃金は低いのか? 諸説があるが、最大の理由は人材が低レベルだからだ

▼これを言うと反論、反発が返ってくるが、日本では「高度人材」が少なすぎるのは事実。博士、修士号取得者(人口比)は先進国の水準を大きく下回っている。デジタルエコノミーの時代、高度人材なしでは企業は発展しない。GAFAは高度人材を高給で大量採用している。アマゾンには博士号取得者が百人以上いる

▼日本の科学論文数の国際順位はかつては世界3位だったが、いまや10位まで落ちた。ノーベル賞受賞者の吉野彰氏も中村修二氏も論文で博士号を取得したサラリーマン。IMD世界人材ランキングでは対象64カ国中43位。THE世界大学ランキングでは東大も京大も20位以内にも入らない

▼大学が勉学の場ではなく、企業は学位関係なしの「大卒一括採用」「年功賃金」。この現状では、どうやっても賃金は上がらない。官制春闘などいくらやっても無駄だろう。