伊勢新聞

「価格転嫁できた」半数 原料価格高騰で県内企業 三重県議会一般質問

【右から世古明議員、田中祐治議員、稲垣昭義議員】

三重県議会は6日、世古明(新政みえ、1期、伊勢市・鳥羽市選出)、田中祐治(自民党、3期、松阪市)、稲垣昭義(新政みえ、6期、四日市市)の3議員が一般質問した。県当局は、原材料費やエネルギー価格の高騰分を商品などの価格に「一定以上は転嫁できた」と答えた県内の事業所が、約半数にとどまっているとの調査結果を公表。「必要なコストを示して価格交渉をすることが重要」とし、専門家の派遣などを通じて支援に当たると説明した。世古議員への答弁。

海外誘客へ意気込みは

世古 明議員(新政みえ)
全国的に増加する外国人観光客の誘致に向けたトップセールスへの意気込みを尋ねた。一見知事は「トップセールスはインパクトが大きい。三重の魅力を外国に売り込む」などと語った。

【価格転嫁】
世古議員 労務費や原材料費、エネルギー価格の高騰分を価格転嫁できるかどうかが、中小企業の行方を左右する。適切な価格転嫁で賃上げにつなげ、地域経済を活性化しなければならない。現状と支援策は。

小見山雇用経済部長 昨年の調査では「一定以上価格転嫁ができた」と答えた事業所が55・1%だった一方、43%が「あまり転嫁できていない」「全くできていない」と答えた。取引適正化のサポート窓口で伴走型の支援に当たっている。

【海外誘客】
世古議員 今年の訪日観光客数はコロナ禍前を上回り、過去最高になると予想されている。知事は1月にタイで観光のトップセールスをし、県の発展に向けた種まきをしたと思う。誘客に向けた知事の考えは。

知事 交流人口を増やすためにも、外国から多くの旅行者に来てもらう必要がある。知事のトップセールスはインパクトが大きい。私が行かないと会えない人もいる。三重の魅力を外国に売り込み、まいた種から芽が出るのを見届ける。

警戒区域避難所対応は

田中 祐治議員(自民党)
県内で304の指定避難所が土砂災害警戒区域にあるとし、対応を尋ねた。県当局は施設の数が限られるなどの課題があると説明。地区を越えた避難の検討などを助言する考えを示した。

【土砂災害】
田中議員 内閣府の調査によると、県内では避難所に指定されている1504施設のうち、304施設が土砂災害警戒区域内にある。安全性への心配から、避難をためらう住民もいると思う。県の見解は。

山本防災対策部長 地域によっては土砂災害警戒区域外の施設が限られているなど、避難所の確保に課題がある。地震との複合災害を考慮した避難所の開設基準がない状況もある。指定の見直しや地区を越えた避難の検討などを助言する。

【飼育放棄】
田中議員 猫の飼育放棄が問題になっている。全国では年間で約1万匹が殺処分されているが、県内では大きく減少している。飼い主のいない猫を捕獲して不妊、去勢する「TNR」は有効な手だてだが、現状は。

小倉医療保健部長 県では平成29年からこれまでに約7300匹の猫に不妊、去勢手術を実施した。令和四年度は、治癒の見込みがないなどのやむを得ない場合を除いた犬と猫の殺処分ゼロを達成した。今後もTNR活動を推進したい。

SNS効果的な活用を

稲垣 昭義議員(新政みえ)
県が運用する複数の公式SNS(交流サイト)に「更新の頻度が低いものがある」と指摘し、効果的な活用を要請。県当局は研修などを通じて職員に積極的な情報発信を促す考えを示した。

【脱炭素】
稲垣議員 脱炭素に向けた取り組みは、中小企業も避けては通れない課題。ビジネスチャンスと捉えるか、逆風と捉えるかで企業の将来が大きく変わる。インセンティブを与えるなどして支援すべき。現状と支援は。

小見山雇用経済部長  中小企業からは、脱炭素に向けた具体的な進め方が分からないという声を聞く。経営者らを対象とした講座や模範となる企業の表彰などに取り組んでいる。各種メディアで広くアピールし、取り組みを広げたい。

【情報発信】
稲垣議員 県は183件の公式SNSを運用しているが、フォロワーが2桁だったり、何年も更新されていないものもある。フォロワー数を増やすことも重視すべき。コメントに返信するなどし、さらなる活用を。

更屋総務部長 一部には更新の頻度が低いものも見受けられる。本年度は写真家を招いて撮影の講座を開いたほか、コンパクトな表現や絵文字の活用など、効果的な発信の支援をしてきた。今後もSNSを通じて積極的な情報発信に努める。