三重県議会は4日、芳野正英(新政みえ、2期、四日市市選出)、小林正人(自民党、5期、鈴鹿市)、藤根正典(新政みえ、4期、東紀州)、石垣智矢(自民党、2期、いなべ市・員弁郡)の4議員が一般質問した。難波正樹県警本部長は、県内の高校生約3千人に実施した「闇バイト」に関するアンケート調査で、約50人に1人がSNS(交流サイト)で「高額報酬アルバイト」の募集が表示された場合に「申し込む」と答えたことを明らかにした。石垣議員への答弁。
HPの見にくさ解消を
芳野 正英議員(新政みえ)
県のホームページ(HP)について「見にくい部分がある」などと指摘し、改善を求めた。県当局は全てのページに掲載を開始した日を表示するなどし、改善や充実を図る考えを示した。
【水道】
芳野議員 人口が減少すれば、水道料金収入の減少が見込まれる。管路などの老朽化に対する懸念があり、南海トラフ地震にも備えなければならない。市町による水道の広域化を、慎重かつ大胆に進めてほしい。
枡屋環境共生局長 水道は料金収入の減少や施設更新費の増加、継続的な技術の確保といった課題がある。来年度から水道事業の将来推計を含めたシミュレーションを実施し、施設の共同設置や共同利用などの広域連携も検討する。
【HP】
芳野議員 県のHPには見にくい部分があり、何かもやもや感がある。HPは情報を提供する機能に加え、情報のアーカイブ機能があるが、過去の情報も一緒くたになっている。見やすいHPに向けた検討を。
更屋総務部長 県民が必要な情報を容易に入手できるよう、分かりやすい目次や検索機能を導入してきた。不要な情報の削除やリンク切れの修正を徹底する。今後は全てのページに掲載日を自動表示するなどし、HPの充実に努める。
地下施設避難の周知は
小林 正人議員(自民党)
ミサイルの飛来などを想定した地下施設について、県内の指定状況を尋ねた。一見勝之知事は、2月末時点で地下道などの79カ所を指定したと説明。民間にも協力を促す考えを示した。
【地下施設】
小林議員 国民保護のための地下施設の指定について、国が一定の指針を示す方向になったが、県内では何カ所を指定しているのか。県のホームページではなかなか避難所の情報にたどり着けないが、周知の方法は。
知事 県内では2月末時点で79の施設を指定している。うち公共は72、民間は7。公共は全て指定し尽くし、今後は民間に促す。ホームページは見やすくなるよう、早急に改善する。備蓄物資の置き方に関する調査や検討も始めた。
【感染症】
小林議員 人と動物の健康、環境を一体的に改善する「ワンヘルス」という考え方がある。人獣共通感染症は、人の感染症の約6割を占めると言われる。動物由来の感染症が懸念されている中、県はどう対応するか。
小倉医療保健部長 人獣共通感染症の対応訓練を定期的に行っている。動物を取り扱う事業者には、動物の健康維持が人の健康につながると啓発している。国際的に広まりつつあるワンヘルスの概念を踏まえて感染症の啓発などに取り組む。
農畜水産物、高温対策は
藤根 正典議員(新政みえ)
農畜産物や水産物に気温上昇の影響が出ていると指摘し、対応策を尋ねた。県当局は、高温に強い品種の開発や新たな生産方法の助言などを通じて生産者を支援していると説明した。
【気温上昇】
藤根議員 全国的に一等米の比率が低下するなど、気温の上昇が農畜産業に影響を与えている。海水温の上昇によって養殖などの水産業にも影響が出ているとも聞く。気候変動への適応策が不可欠。どう取り組むか。
中野農林水産部長 高温に強いコメの品種を開発し、普及に取り組んでいる。かんきつでは散水をする設備の導入を支援し、畜産業ではミストや扇風機、壁の断熱化などを普及してきた。養殖業者でも水温の配信や品種の開発を進めている。
【学校支援】
藤根議員 県教委は能登半島地震の被災地に災害時学校支援チームを派遣し、災害時の学校運営に関する経験や知見を得た。課題も明らかになったと思う。今後の風水害や南海トラフ地震に、どう生かしていくのか。
福永教育長 活動した隊員からは「学校を再開するまでの課題や取り組みが分かった」などの声が届いた。被災地で学んだことを取りまとめ、学校関係者で共有する。派遣の体制や支援の内容を検証するなどし、チームの強化にも取り組む。
沖縄「三重の塔」改修は
石垣 智矢議員(自民党)
昭和40年に平和祈念公園(沖縄県糸満市)で建立された「三重の塔」について、改修への考えを尋ねた。県当局は来年の戦後80年に向け、バリアフリー化を進める考えを示した。
【三重の塔】
石垣議員 三重の塔は設置から58年が経過した。誰もが利用しやすくなるよう、県遺族会などから改修を求める声が寄せられている。平和の尊さを次世代に継承し続けていくため、どう環境を整備するのか。
中村子ども・福祉部長 高低差があることから慰霊式を行うスペースが狭く、高齢の遺族にとって利用しづらい状況。参列者が安全に利用できるよう、段差を解消するなどのバリアフリー化を図ると共に、十分なスペースも確保したい。
【闇バイト】
石垣議員 子どもがインターネットを利用するのがもはや当たり前の世の中だが、SNSが「闇バイト」などの犯罪に使われる事案も多発している。社会総がかりでネット犯罪から守る取り組みが必要。現状と対策は。
難波本部長 昨年、県内の高校生に実施したアンケートでは、SNSで「高額報酬アルバイト」と表示された場合に、50人に1人が「相手に連絡する」と答えた。分かりやすい広報など、少年を被害者にも加害者にもさせない対策を進める。