高田高校(津市)の最速150キロ右腕・中山勝暁(かつあき)が国立の三重大(津市)医学部に進む。県下屈指の進学実績を誇る中高一貫の6年制コースに在籍しながら硬式野球部に所属して「医師」「プロ野球選手」の2つの夢に向かって鍛錬。練習で150キロを計測するなど球速も上がった高校3年目、プロ注目選手と言われるまでに成長した。
「目標でぶれたくない」と「支配下」にこだわってプロ志望届を出した昨年秋のドラフト会議は指名漏れしたが、その後受験勉強に専念。医学部合格を勝ち取った。スポーツドクターの仕事に興味を持っていると言い「けがが多かったので同じような苦しみを持つ人を診られる医者になれれば」と話した。
「最初は高校野球をやれる気がしなかった。色んな人が支えてくれたからこそやりきれた」。高田中時代は軟式野球部に所属し守備位置は捕手。肩の強さに目を留めた周囲の勧めもあって高校から硬式野球部に入部し、投手の練習を本格的に始めた。
6年制コースからの硬式野球部入りは約5年ぶりだったが、周囲の理解もあって文武両道を貫けた。「(学業との)両立は自分で言ってきたことなので。最後はプレッシャーではあったんですけど、何とかそれを乗り越えられたことは今後にも生かせられるかなと思います」。
「スポーツはしたい」が、現状では大学で野球を続けるかどうか未定という。進学する三重大でも硬式野球部が活動している。全日本大学野球選手権の出場経験があり、2017年春に3度目の県リーグ優勝を果たすなど安定した実力を持つが「新しい競技もいいんじゃないか」という思いもある。
ただ「もうやりたくない、ってことはない」。3月1日の卒業式後に行われた卒部式では、春から三重大と同じリーグの皇學館大(伊勢市)で硬式野球を続行する藤田輝・捕手兼前主将の二塁への送球練習のため、藤田を座らせての全力投球。「硬球を握ったのは今年初めて」だったが、高1からバッテリーを組んだ盟友のミット目がけて力強いストレートを投げ込み、「(感触は)悪くはなかった」と笑顔を見せていた。