伊勢新聞

小屋をカレー店に再生 小川店主と三重大生連携、大紀町に10日オープン

【閉業した民泊敷地内の小屋を改修し、カレー屋として再生させた小川さん(右)と三重大生ら=大紀町金輪の「満月農園カレー小屋スミタ」で】

【度会郡】三重県大紀町金輪に10日、「満月農園カレー小屋スミタ」がオープンする。店主の小川満さんと、県の「南部の地域課題解決型フィールドワーク」に参加した三重大生2人が連携し、閉業した民泊敷地内の小屋を改修してカレー屋に再生。オープンを前に小川さんは「カレー屋をきっかけに大紀町を知ってもらいたい」と話している。

【「チキンキーマカレー」を紹介する小川さん=大紀町金輪の「満月農園カレー小屋スミタ」で】

伊勢市出身の小川さんは大阪のゲストハウスで働きながら、バックパッカーとしてタイやインドなどを旅していたが、令和3年に父親の病気をきっかけに同市に帰郷。コロナ禍だったこともあり、「もともと興味があった家庭菜園やカレー作りにはまった」という。

次第に「自分で育てた野菜を使い、カレー屋をやりたい」と思うようになり、一昨年から同町にある農家民宿「大紀町日本一のふるさと村」で働き、農業の基礎を学ぶとともにカレー屋開業に向けて動き出した。

昨年9月から今年2月にかけて、県南部地域の課題を知り解決策を立案して実践するフィールドワークが同町で行われ、三重大3年の金森匡吾さんと同2年の宮島充朗さんが、小川さんのカレー小屋開業に向けたプロジェクトに加わった。

小屋の片付けや草刈り、外壁の修理、壁塗りなどを実施。大学生2人は「どう改修していくか、その場の状況に合わせてみんなで考えるのが楽しかった。町内外の人が集まる場になれば」と話す。2月末にはプレオープンイベントが開かれ、訪れた人にチキンキーマカレーやチャイなどを振る舞った。

小川さんが試作を重ねて完成させたチキンキーマカレーは、ブラックペッパーを多めに配合したスパイスや有機野菜などを使用し、ヨーグルトやキュウリ、トマトを添えた。オープン後はムング豆のダルカレーも提供する予定という。

4月からは新規就農者となり、有機野菜の栽培を始める小川さん。「今後は自分で作ったものをカレーに使いたい」と意気込む。店名の「スミタ」はサンスクリット語で「笑顔」という意味。訪れた人が笑顔になるような店を目指し、オリジナルカレーを提供する。

問い合わせは小川さん=電話090(5115)7830=へ。