県企業庁発注の水道設備工事を巡る贈収賄事件で、入札で便宜を図る見返りに現金200万円を受け取る約束をしたとして、受託収賄罪に問われた元県職員ら2人に対し、津地裁(中村海山裁判官)は1日、それぞれに懲役1年6月、執行猶予3年、追徴金100万円(求刑懲役2年、追徴金100万円)の判決を言い渡した。また贈賄罪に問われた元社長には懲役1年、執行猶予3年(同懲役1年6月)の判決を言い渡した。
受託収賄罪に問われたのは、企業庁北勢水道事務所元副参事、小野弘春被告(60)=松阪市=と県伊勢農林水産事務所元課長、酒德和也被告(58)=伊勢市。贈賄罪に問われたのは四日市市の土木工事会社「新陽工業」元社長新井政智被告(46)=同市。
中村裁判官は判決で「小野被告が職務で知った情報と酒徳被告の知見を生かして入札に必要な技術資料の作成や指導、助言をした」と指摘。「対価として新井被告が200万円の謝礼を約束し、犯行の悪質さは低いとは言えない」と述べた。
その上で「同点の入札参加会社が失格して落札したことから、公務の公正や社会一般の信頼を損なった程度が大きいとは言えない」と話し、酒徳被告が懲戒免職処分を受けるなど、いずれも社会的制裁を受けているとした。
判決などによると、小野、酒德両被告は県職員だった令和3年7月、北勢水道事務所発注工事の入札で、資料作成の助言や指導をした謝礼として、当時新陽工業の社長だった新井被告から、現金200万円を受け取る約束をしたとされる。
一見勝之知事は「内容を改めて重く受け止めている。現在、全職員への倫理研修やコンプライアンス規定の策定を進めており、県民の皆さまの信頼回復に努める」とコメントした。