【鳥羽】かつて三重県伊勢市で盛んに生産されていた和傘「伊勢山田傘」の歴史や製造技術を紹介する展示が、鳥羽市鳥羽の観光交流施設「鳥羽大庄屋かどや」で開かれている。3月4日まで。
出展したのは、伊勢山田傘の復活に取り組む美鈴洋傘店四代目鈴木俊宏さん(40)=伊勢市浦口=。鈴木さんによると伊勢山田傘は、旧山田地区(現伊勢市)で江戸時代から製造され、大正時代には地域の主要な産業の一つになった。普段使いの番傘(雨傘)のほか、鮮やかな絵付けをした日傘、婚礼用などがあったという。
ピーク時には、100軒ほどの業者があったというが、洋傘の普及などに伴い衰退。昭和50年代に製造が途絶えた。鈴木さんの店でもかつては作られていたが、製造工程など詳細は残っていないという。
伊勢山田傘を知る人がほとんどいない中、鈴木さんは、途絶えた技術を復活させようと、平成30年から資料や文献の調査を開始。元職人と出会うことができ、昨年、工程や細かな技術を教わりながら、当時の技法で番傘を再現した。
会場には、鈴木さんが作った番傘や、桜やショウブなど伊勢山田傘の伝統的な図柄を絵付けした華やかな日傘など計八点を展示。傘づくりに使う古い道具や資料なども紹介している。
鈴木さんは「伊勢山田傘を多くの人に知ってほしい。本格的な生産ができるよう活動を続け、伝統をつなぎたい」と話していた。