伊勢新聞

2024年2月22日(木)

▼東京でも4歳の女児が殺害されたとして両親が逮捕されて1週間だからといって「4歳」に何か意味があるわけではあるまい。三重県津市の4歳女児を死亡させたとして傷害致死罪に問われた母親の初公判が津地裁で開かれ、事件の概要が明らかになった部分も少なくないが、なぜそうなってしまったかはほとんど何も分からない

▼自宅の浴室で出産せざるを得なかったらしい。熊本県の病院が運営する「赤ちゃんポスト」に預けるについては、両親にも上の2人の娘にも知らせず行動したことという。2年後に引き取るについては何があったのか。県の児童相談所が経緯を知っていたという情報もあるが、それにしてはそれからの関わりに親身さがない

▼3人の女児と4人で暮らし始めたが、三女だけは段ボールで仕切った寝室で生活し、母親の母も、上の2人の子とはよく会ったが、三女とは一時期から会っていなかったという。気にはならなかったか。三女に発達の遅れがあり、子育てに悩んでいたというのは弁護士の言葉だが、それはいつごろからのことなのか

▼父親の関わりもまったく不明のまま。母親は、三女に関しては出産した直後から、孤立していた状況が浮かびあがる。とすれば、ネグレクト(育児放棄)以外に、母親に自分の精神を正常に保つどんな方法があったかという気もする

▼母親は三女の背中を右手で殴り、高さ約30センチの台から転落させて死亡させたという。それが分かったからといって何の意味があるかという気もする。