伊勢新聞

2024年2月18日(日)

▼「破格の予算」と補正予算案について、一見勝之知事は昨年12月15日の定例記者会見で言った。翌年3月議会に新年度当初予算案とともに上程されるのが慣例で、この段階で公表するのは異例らしい

▼国の「内々示」の数字だというから確かに聞き覚えはない。前年度比81億円増の230億円だから“破格”の表現が大げさではない。過去5年間で最大で、道路などの完成見通しが一年も前倒しになり、県民のメリットは大きいが、惜しいことに、具体例としてあげられたのが国道421号大安インターのアクセス道路やバイパス道路であり、雨東谷の砂防堰堤(えんてい)(熊野市)

▼全県へのメリットでないから一般受けはしまい。また過去2、30億円程度だった四日市港補正予算も、要求額85億円に対して、上回る88億円。「(私が)国交省で働いていなければ難しかった」(知事)というのは精いっぱいのアピールだろうが、万事が地味には違いない

▼県の予算獲得の手段は、かつては国会議員に依存することが大きかったが、しがらみなども増えて、徐々に官僚との人事交流にシフトし、国交省副知事が大いに活躍した時代もある。北川正恭氏から若干軌道修正し、鈴木英敬氏あたりで溝は深まった感がある。一見知事でどう動くか。補正予算の実績は、その試金石かもしれない

▼12月県議会の補正予算は国の制度改正などに伴う変更が中心だが、昨年は特に議案の事務処理ミスの修正に追われた。“一見色”をどう打ち出すか。模索が始まっているのかもしれない。