三重大新拠点の検討に着手 四日市市、駅前設置向け協定

【協定書を手にする森市長(左)と伊藤学長=四日市市役所で】

四日市市は16日、三重大学(津市、伊藤正明学長)と「JR四日市駅前における三重大学新教育拠点の設置に向けた検討着手の連携協定」を締結した。連携事項は、新拠点設置に向けた具体的検討を開始し、検討過程で必要に応じて双方協議を行う▽令和6年度末をめどに新拠点設置に向けた検討の結論を得るよう努める―などで、両者は相互に連携・協力していく。

森智広市長と伊藤学長が同日、市役所で協定書に署名。森市長は「中心市街地再開発プロジェクトの大きな軸として大学設置を掲げており、本格的に検討を開始できる立ち位置に来たことに高揚している。貴重な一日となった」と強調。

その上で「四日市キャンパスが実現すれば、北勢地域にも県全体にも大きなメリットが出るし、意味のあるものになる。産業界の期待もあり、しっかり議論する。市が想定している規模では、市立を含めた公立大学設置、他大学誘致も並行して考えており、三重大学との協議を基本に、他も並行して検討し、全体を固めていく」と述べた。

伊藤学長は「世界に通じる日本の人材の育成、まずは県内の若手人材育成を考え、ポテンシャルの高い組織ができれば」とし、「産業界から工学系の人材育成の要望があるが、産官学が連携して新しい大学の形を作っていきたいという本学の方向性とよく似ている。教育が大学だけでできる時代ではなく、地域の皆さまと一緒に進められれば」と述べた。

さらに「四日市はものづくり企業が多く、そのネットワークを大学教育に活用したい。同じ場所にいくつか大学があり、方向性が一つであるというモデルは日本になく、お互いが良かったというモデルを県から発信できれば。県を盛り上げ、全国に広げたい」と語った。

市は理工系学部・学科・大学院を有する大学の設置を目指しており、本年度は大学設置に向けて、人材需要や地域ニーズなどについて学生や企業への聞き取りをしたほか、大学構想策定委員会を設置。委員会を4回開催し、他大学の先行事例や社会情勢などを踏まえ、委員の専門的・客観的な意見を得ながら、人材像、教育・研究水準、教育・研究分野など大学の大きな方針となる基本構想の策定を行っている。3月8日の第5回委員会を経て、本年度中に基本構想を策定する。

また、6日に発表した新年度予算案では、大学設置調査検討事業費として1千万円を計上。大学設置に向けた検討を推進する体制を設け、基本構想の具体化に向けて、設置主体を明らかにし、有識者会議を設置し、基本計画を策定するとしていた。