伊勢新聞

処理水処分の必要性を講演 21世紀エネ考える会で原発事故対策官

【講演をする北村氏=津市羽所町のホテルグリーンパーク津で】

三重県内の経済団体などでつくる「21世紀のエネルギーを考える会・みえ」(小林長久会長)は14日、津市羽所町のホテルグリーンパーク津で第29回役員懇話会を開き、経済産業省資源エネルギー庁原子力発電所事故収束対応室の北村貴志対策官がALPS処理水の海洋放出の取り組みと今後の対応について講演した。同会の役員など約40人が会場とオンラインで参加した。

同会ではエネルギーや環境問題についての理解を深めてもらおうと年2回役員を対象に講演会を開催している。

講演で北村氏は汚染水を浄化してトリチウム以外の放射性物質を規制基準を下回るまで浄化処理した「ALPS処理水」の貯蔵タンクが東京電力福島第一原子力発電所の敷地を圧迫し、廃炉作業に支障が生じかねない状況を報告。「規制基準を大幅に下回るレベルで安全に処分していくことが必要」とALPS処理水処分の必要性を話した。

処理方法については5つの候補の中から放出設備の取り扱いやモニタリングが比較的容易な海洋放出が選ばれたと語った。海洋放出による海水のモニタニング調査では放出後も放射性物質濃度が規制基準を満たし、安全に海洋放出ができていると説明した。

北村氏は「昨年と今年の海洋放出により貯蔵タンクが10基ほど空いてくる」と述べ、「一部タンクを解体することで廃炉に向けた準備作業に必要なスペースを確保することにつなげていきたい」と今後について話した。