伊勢新聞

AI「知能を持った電気のようなものに」 桜美林大教授の平氏が講演

【伊勢新聞政経懇話会で講演する平氏=津市大門の市センターパレスホールで】

伊勢新聞政経懇話会の2月例会が13日、三重県津市大門の津市センターパレスホールで開かれ、桜美林大リベラルアーツ学群教授の平和博氏が「生成AIが変える社会、その展望と課題」の演題で講演した。生成AI(人工知能)の活用が加速する中で「将来的にAIは知能を持った電気のようなものになる。社会のすみずみにまで知能を持った電気としてAIが張り巡らされて行った時、自社のサービスのどうあるべきなのか考えてほしい」と呼びかけた。

平氏は、一昨年の11月に登場し、現在の生成AIブームの火付け役となった対話型AI「チャットGPT」について「一番の特徴はマルチモーダル(多種類データ処理)。さまざまな種類のデータを一括して学習し、出力もできてしまう。非常に汎用性の高いAIが登場した。これは色んなことに使えるぞと言うことになっているのが現状」と説明した。

利用するメリットに自動化▽効率化▽コスト削減―など挙げる一方で、予想されるリスクについて、フェイクニュース▽サイバー攻撃▽雇用に与える影響▽性別、特定の人種への偏見―などを挙げ、「G7広島サミットでガイドラインをつくらなければならないくらい課題は山積み。色んなところにねじを締めていかないと安心して使えない」と安易な利用に警鐘を鳴らした。

また「短期的には結果は出るが、それを使って何をするかという大きなビジョンなしにはその先が見えてこない」と強調。サービスを利用する側についても「悪用されたものも出回っている。それにだまされないというリテラシーもしっかり向上させていくのも重要」と話した。

平氏は元朝日新聞記者で、社会部、シリコンバレー(サンノゼ)駐在、科学グループデスク、編集委員、IT専門記者など歴任した後桜美林大リベラルアーツ学群(メディア・ジャーナリズム)教授に就任。日本ファクトチェックセンター運営委員、科学技術振興機構社会技術研究開発センタープログラムアドバイザーなど務めている。